りんどうの会~がん患者遺族の会・佐賀~

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ルミナリエセレモニー2023

2023/09/18

皆さん こんにちは

RFL2023ルミナリエ点灯式に際し、話をさせて頂く事になりました、がん遺族の会佐賀・りんどうの会会員〇〇です。

 

りんどうの会に入会したのは、5年前に夫が胆嚢癌で他界したためでした。

私から見た夫は口下手で心配性でやや涙もろいけど、優しくて大きく包んでくれるような存在でした。魚釣りが好きであちこち行っていたようで、舟で島に渡してもらってたとか魚の話をよく聞かされていましたが、結婚後は一人で魚釣りに出かけて行ってしまうということもなく、私とのお出かけを一緒に楽しんでくれるような人でした。桜や紫陽花、コスモス等の季節毎の花見やホタル、花火大会とよく出かけました。温泉も好きで旅行にも行きました。携帯でよく道順を調べたり、検索してましたね。

 

気がつくと、旅行の行程表が綿密に経てられていて、途中の経由地までの所要時間や滞在時間を含め、温泉にゆっくりつかれるように考えられた到着時間等が記載されたメモ用紙が眼の前に出てくるのです。どれだけ楽しみにしているのかと、驚きでもありましたが、これが通常なのです。写真もたくさん撮っていて、多くの思い出が残されました。

 

その夫が癌になり、闘病したのは2年5ヶ月でした。発見時にはすでに転移をしており、手術はできず、抗癌剤治療がはじまりました。それだけでは不安で、陽子線治療や温熱療法、免役療法と鹿児島や福岡、久留米へも出かけて行きました。夫は「お前を一人残して行けんやろう」「元気になってまた一緒に出かけたい」と前向きに治療を受けていましたが、進行を抑える事はできませんでした。

 

夫がいない現実を受けとめられず、またこんなに辛く苦しい、きつい思いをさせるために治療を頑張っていた訳じゃないのに、あの時もっとああすれば良かったんじゃないかという後悔にも似た思いにとらわれ、先が見えなくなりました。自分一人では抱えきれない思いをりんどうの会では、吐き出す事ができました。

 

入会して初めて参加したRFLでは、いつもは限られた時間の中でしか話ができなかったメンバーの人達とゆっくりした時間の中で、話を聞いたり聞いてもらったり、皆で交代で会場を歩いたり、穏やかな時を過ごしました。日が暮れてルミナリエが灯る中、夜空を見上げ星を見ていると、自然と夫のことが思い出されます。「夫も一緒に歩いているだろうか…」

ふとよみがえるのは、あの旅行の行程表です。「ああ、夫のことだ、きっとむこうの世界を歩き回って調べてまわったいる。私のことを案内してくれるつもりじゃないかな」そう感じられました。

 

閉会後、ご好意で一輪のバラを頂きました。それは、この会場にも設置されているエンプティテーブルの上に置かれていたバラです。エンプティテーブルは、ここに来ることができなかった愛する人の席です。一輪のバラは、家族や友人の揺るぎない愛情と病と闘う強い意思の象徴です。持ち帰ったバラは、数日で枯れてしまうと思っていたのですが、予想に反し10日以上もの間、咲き続け、私の目を楽しませてくれました。見守ってくれていたように思います。

 

今でも、夫を思わない日はありませんが、お互いに土産話ができるようになって会いに行けるまで、夫には待っていてほしいと思っています。

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