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お知らせ

五周年記念講演から(第4回)

2017/10/16

第4回 (体験談 MSさん)

 

 こんにちは

私は平成6年、わずか3ヶ月の闘病ののち、夫を癌で亡くしました。

ちょうど3番目の子供が生まれ、我が家も一段と賑やかになり幸せの中での突然の出来事でした。

 風邪ひとつ引いたことのない夫が体調不良を訴え検査入院しました

異常なく直ぐに、帰って来てくれると軽く思っていました。

しかし、もう手の施しようのない末期ガンという予想もしない、医師から私への告知でした。

夫は入院当初はとても元気で、誤診ではないかと思うほどでした。

まだ37歳、あんなに元気だったのに・・・人間ドッグも受けていたのに・・・年齢も若く、友人や周りに同じような体験者も無く、一番の相談相手の夫には相談できず、あまりにも大きな悲しい現実を、直ぐには受け止めることは出来ませんでした。

これから我が家に襲いかかる、逃れることの出来ない、悲しい現実を、何も知らずに、はしゃいでいる、子供達を見ていると胸がおしつぶされるようでした。

「まだ、やりたいことがたくさんある。子供達の成長も楽しみだし、必ず元気になるから心配しなくて良いよ」と優しく声をかける夫に真実を告げることは出来ませんでした。

その言葉とは裏腹に癌は刻々と夫の体をむしばんでいきました。

 八方塞がりの状況の中で、妻としての時間は残り少ないけれど、とにかく妻として精一杯の事をしよう、妻の時間を楽しもうと思いました。残り少ない夫の人生を思う時、病室に毎日、飛びっきりの笑顔を届けたい、と思いました。

でも「又、明日、来るね!」と笑顔で手を振り、扉を閉めた途端、大粒の涙が流れました。いつか終わりを迎える入院生活を思う時、途方もない不安と悲しみでいっぱいでした。

 

 

 夫も少しずつ病気が悪くなるにつれ死期を悟ったのだろうと思います。

自分の亡き後、苦労するであろう私のことを不憫に思ったのでしょう。少しのことにも最期まで「ありがとう・・ありがとう」と優しい夫でした。

平成6年7月26日の朝、37歳の若さで他界しました。

長男8歳、次男5歳、三男は8ヶ月でした。

幼子を抱えて悲しみの中、途方に暮れた日々が遠い日のことのように又、昨日の事のように思い出されます。

夫が他界し約2年間、引きこもりに近い状態で過ごしました。

子供達の成長していく姿を見ているといつまでも立ち直れない自分の姿が情けなくなりました。

夫があんなに大切に思っていた子供達をしっかり育てる事、幸せに生きていくことが何より夫の望むことだと思いました。

想像もできないような大きな悲しみや喪失感を体験し、この経験を活かして生きていけたら・・・と思うようになり看護学校に通い始めました。

45歳で看護師になり緩和ケア病棟で働き始めました。

私の描いていた未来予想図とは随分、違う人生を歩いてきました。

私のような経験はもう私達家族だけで終わりにしてほしいと思いますが、残念ながら今、この時も大きな悲しみの中で苦しんでいらっしゃる方はおられます。

看護師として患者さんやご家族に寄り添うことは出来ますが、ご遺族に寄り添うことには限界があります。ご遺族の悲しみに寄り添い、少しずつでも希望を持ち、歩いていけるよう、りんどうの会があります。ご遺族のお心に寄り添いながらこれからも私らしく生きて行きたいと思っています。

 

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