妻に捧げるレクイエム=27=
2014/02/28父の死
誤嚥が原因で肺炎を起こしていた父が
9月19日午前5時過ぎに85歳で急逝した。
通夜、葬儀、法要と本当に君は尽くしてくれた。
でも、この事が君の寿命を縮めたのじゃないかな。
父の百ヶ日の日には、君は緩和ケアにいた。
寒い冬
ごくの誕生日が終わる頃から気温が急激に下がり始めた。
寒さに弱い君は体力が落ち始め、
ほとんど寝ている状態になってきた。
医師からも緩和ケアへの入院を考えるように言われ
緩和ケア病棟へ手続きに行ってきたね。
父の死
誤嚥が原因で肺炎を起こしていた父が
9月19日午前5時過ぎに85歳で急逝した。
通夜、葬儀、法要と本当に君は尽くしてくれた。
でも、この事が君の寿命を縮めたのじゃないかな。
父の百ヶ日の日には、君は緩和ケアにいた。
寒い冬
ごくの誕生日が終わる頃から気温が急激に下がり始めた。
寒さに弱い君は体力が落ち始め、
ほとんど寝ている状態になってきた。
医師からも緩和ケアへの入院を考えるように言われ
緩和ケア病棟へ手続きに行ってきたね。
腫瘍マーカー
定期検診でやっぱり気になるのは腫瘍マーカー。
個人差があるから数値は参考にはならないといわれても
やっぱり気になるよね。
検査ごとに数値は上昇していったけど
そのカーブが緩やかだったことが救いだったのかな。
普段の生活
腫瘍マーカーの数値は徐々に上昇していったけど、
君の普段の生活には変化はなかった。
普通に食べ、普通に歩き、
本当に抗がん剤を止めて良かったと思える日々だったよね。
こんな生活がもっと続いてくれることを願っていたよ。
珈琲カップ
その旅先で偶然に立ち寄った窯元で、湯呑みを2個もらったね。
後日、その窯元の個展で珈琲カップを買い求めたけど
今では、特別の時だけ使っているよ。
君との思い出が詰まりすぎているカップだから
大事に使っているよ。
定期検診
抗がん剤を止めてからも
4週間ごとに外科と腫瘍内科の検査は続いていたね。
血液検査での腫瘍マーカーのチェックと対処療法だけ。
でも、僕は必ず君と一緒に検査の結果を聞いて
一緒にお昼ご飯を食べると決めたんだ。
いつも一緒に
春も過ぎる頃には、
髪の毛を除くとほとんど元の状態に戻っていた。
一緒にいろんな所に出掛けたね。
買物、食事、映画、カラオケと。
君と一緒の時間を何よりも大切にすると決めたんだ。
一人旅行
5月になると以前から行きたがっていた京都にも行ったね。
結婚して初めての君だけの旅行だった。
娘とも友だちともゆっくりとした時間が取れたと
君は言っていたね。
でもね、
一人で留守番している僕は、少し寂しかったたんだ。
抗がん剤よさらば
平成22年2月18日が最後の抗がん剤治療だったね。
肺と肝臓にガンがある以上は
死に向かって歩き出した日でもあったね。
でも何処かにホッとした気持ちがあったのも確かだった。
君はこの日から344日間を生き抜いた。
セカンドオピニオン
この頃に放射線治療の情報を得て
セカンドオピニオンとして熊本の放射線病院に行ったね。
長い時間待たされた後で、結局は君のガンには効果が期待出来ないと言われ
わずかな希望も消えてしまった。
菜の花が咲いていたね。
人は何時か死ぬ(独り言)
がん患者とその家族にとって一番辛いのは、迫り来る死との闘いです。
死ぬ事への恐怖や、生きる事へのこだわりが、心を暗くしていきます。
人は何時か死ぬんだ。
その思いに達して死を恐れない事が、ガンとの闘いに勝つ最後の手段でした。
そして、この場合の勝ちは、生きる事ではなく生き抜く事だと気づかされました。
生き抜く事と一言で言っても、現実には難しい事です。
何をすればいいのか、何が生き抜く事なのか、その答えは人それぞれに違います。
私は、妻の思いの通りに生きてみようと思いました。
私はサポートする事しか出来ませんから、
妻がしたい事、やってみたい事を援助するしかありません。
普通の生活をしたいという妻の切実な思いに応える事にしました。
その為には、これ以上抗がん剤による治療を続ける事は出来ないと思いました。
別の抗がん剤と言う選択肢もあったのですが、
全ての治療を止めて、普通の生活に戻る決心を妻はしたのだと思います。
美味しいものを食べて美味しいと感じたい、その思いが一番強かったようです。
今でも、この時に抗がん剤を止めた事を後悔していません。
その事は、この後に書き綴っていきますが、残りの日々を妻は精一杯生きてくれました。
何のために
この頃から抗がん剤治療を続けるかを迷い始めたと思うよ。
味のしない食事、触れただけで痛い指先、治らない口内炎。
ガンに負ける前に副作用に負けてしまいそう。
なんのために頑張っているのか判らないと
君は言ったね。
情報が少ない
抗がん剤を止めようとして、
その後の生き方の情報を集めていて驚いた。
助かった話しや民間療法の情報はあふれているのに
死に向かう事を選択する情報の少なさ。
そんな状況の中で、抗がん剤治療を止める決心をしたね。
副作用との闘い
投与の期間が長くなるにつれて、副作用は君に襲いかかってきた。
口内炎、手指の荒れ、脱毛。
一番君が苦しんだのは味覚障害だった。
臭覚は正常なのに、口に入れると味がしないという。
食事を怖がって栄養補助食品でまかなったね。
ある医師の言葉
君は別の病気でも以前から定期的に診察を受けていた。
そこの医師が君に言った言葉は、
「抗がん剤を続けて風邪を引いて死ぬか
抗がん剤を止めてガンで死ぬか
何時か人は死ぬんだよ
どっちが良いかよく考えてごらん」
再び抗がん剤の日
再び抗がん剤との闘いだね。
君も続ける覚悟を決めて、カツラも調達し
長期戦に臨む体制を整えた。
今回は投与する時には入院したので
2週間ごとの送り迎えとユリの散歩が
僕の一番の仕事になった
君は頑張ったよ。
朝の散歩で
君が入院するたびに、朝の散歩は
君の病室から見える道を必ず歩いたよね。
君は病室から手を振ってくれたね。
なんとか君を励ましたいけど
他に僕が出来ることが見えなくて
少しは役に立っていたのかな。